2020/05/07

武蔵野美術大学 造形学部 教養文化・学芸員課程
教授

数学科/1976年

2019/10/27 時点

プロフィール

理学博士(津田塾大学)。学芸学部数学科1976年3月卒業。理学研究科修士課程1978年3月卒業。同博士後期課程1981年3月単位取得退学。
津田塾大学研究助手5年、新設の短期大学10年、1998年から武蔵野美術大学勤務。美大出身のデザイナーとのコラボレーションは、https://www.emarie-weddingdress.com/works_and_philosophy/topology_topological_form.html
(2000年東京コレクション出展)。
最新論文は、“A bound for the Casson-Walkerinvariant of rational homology null cobordant lens spaces”(Topology and Its Applications 第265巻2019年9月15日号)。


メッセージ

数学を大学で学ぼうと思ったのは、高校1年生の時。微積分学など大学の教科書を読む優秀な同級生から刺激を受け、数学に夢中になりました。津田塾大学は当時から少人数教育で、所属した1年ゼミで位相論を学んだのが、現在の専門の端緒。4年ゼミでは、新任の先生から位相幾何学(トポロジー)の手ほどきを受け、そのまま大学院になんとか進学できました。博士後期課程が開設されたばかりで、カッコいい先輩に憧れ、他大学の同年代の方々からも多くを学びました。のびやかな雰囲気の津田塾で学べたことは、現在の自分の基礎になっています。

トポロジーは現代数学で最も基本的な分野のひとつで、他の科学分野とも関連を持ちます。手法や対象などにより幾つかの領域に分かれており、私は低次元トポロジーの分野に属しています。ここ十数年でようやく自分なりの視点からの研究ができるようになってきました。明らかにしたい課題もまだまだあります。

「牛にひかれて善光寺参り」の子育て。博士論文を抱えてのPTA会長仕事。大学での様々な学務。親の旅立ちの見送り。残った親の暮らしを週末通いでサポートも。時折、重い鎖を引きずりながら歩いているように感じることもありますが、いずれも誰かが、そして誰もが通ってきた道なのだろうと思います。

数学は価値中立的で浮世離れした世界と言えるかもしれません。主張が数学的に正しいと証明できさえすれば、その審級が揺らぐことがありません。このような世界に身を置くことができて、随分救われたのではないかと思います。

近年、まさかこんな時代や社会になろうとは、と思うことが多々あります。でも希望を持って、バトンを次の方々に......Girls, be ambitious!

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