2021/07/21

資生堂ジャパン株式会社
ビューティーインスティテュート長

数学科/1991年

2021/05/20 時点

プロフィール

数学科1991年3月卒業。株式会社 資生堂入社。総合職3期生として大阪で営業を担当。銀座本社へ異動後、商品開発部、経営企画部などで、商品戦略、マーケティング戦略、ブランドポートフォリオ戦略を担当。「マジョリカ マジョルカ」、「マキアージュ」などのブランドを開発した。現在は、ビューティーに関わる知見を集積する社内機関であるビューティーインスティテュートを担当しつつ、社内の様々なプロジェクトに参画。


メッセージ

大学3年のある日、突然「今しかできない面白いことをしたい」と思い立ち、学内外の友人を募って津田の学祭で、作家・池澤夏樹さんの講演会と、恋愛ドラマの脚本家や女性誌編集長などを招いたジェンダーに関するパネルディスカッションを主催しました。初めて会う他大学メンバーも含めたチームを組成し、企画を練り上げ、登壇いただく方へコンタクトを取り依頼をし、謝礼金を用意するために後援企業を探し、当日のディレクションまで手探りでこなしました。その情熱をもっと学業に投じていれば……と思わなくもないですが、若い頃でなくてはできない無鉄砲さだったのだと思います。

味を占めて、さらにもっと大きな規模で何かを企てたいと思い、当時の数学科では珍しく化粧品メーカーに総合職として入社し、以来30年間、主に化粧品の商品開発やブランド戦略を担当しています。多くの方にご愛用いただいているブランドや、小粒だけれど厚いファン層を持つブランドなどを創り育てました。

ブランドなりイベントなり、何かを生み出す際には、自分の中に蓄積された引き出しと、化学反応を引き起こす仲間とのコラボレーション、それをカタチにする実行力が必要です。それらほとんどを大学時代の4年間に学び、入社時に抱いた希望どおりの30年間を過ごせたと思っています。

数年前、トランスジェンダーの方の、「デパートの化粧品コーナーに行きたいけれど躊躇する」との声をきっかけに、私たちの中に「化粧は女性のもの」との思い込みがあったことに気づかされました。そこで当事者やLGBTイベントへの参画経験を通じて1万人の美容部員を再教育しました。今では、男性が店頭に来られて口紅を見ていても「女性へのプレゼント用ですか?」とは聞かれないはずです。ご自分用を探しているかもしれないですから。美はその人の生き方であり、それを応援することに性別はありません。
そして、コロナを経て、トランスジェンダー以外の男性の美容意識・行動も大きく変わり、もはや美容はジェンダーレスの時代に突入しました。

女子大なのに意志をもって学名に「女子」とつけなかった唯一の学校で学べたことは、
「男性らしさ」「女性らしさ」、というジェンダーの思い込みを軽やかに超える素地を作ってくれたと思い、今は「男性の、男性らしさからの解放」に貢献したいと思っています。

もっと読む