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2021/06/08
北村 友紀子
株式会社 電通パブリックリレーションズ
シニアコンサルタント
英文学科/2004年
2021/05/09 時点
プロフィール
英文学科2004年3月卒業後、株式会社電通パブリックリレーションズ入社。メディアリレーションズ、ヘルスケアコミュニケーション、親会社である電通への出向等を経て、情報流通デザイン局にて現職。製薬企業・飲料メーカー・地方自治体等、多様なクライアントを担当。2020年8月に出産のため、現在育休中。
メッセージ
新卒でPR会社に入社してから17年。様々なクライアントを担当し、製品やサービスの魅力を伝える仕事をしてきました。大学での学びが、その後の社会人生活に与えてくれた贈り物が2つあります。
1つ目は、PR会社を志望するきっかけになった体験です。在学時に大学祭の企画に関わり、新聞の地域欄で紹介してもらうため、記者の方への企画の紹介文、すなわちプレスリリースを書きました。その経験が印象的で「プレスリリースを書きたい」という理由で入社しました。この単純明快な志望動機は、それだけ強固で、働き続ける理由を私に与えてくれました。
2つ目は、専攻した英文学を通して学んだ、社会と自分自身を、距離を持って冷静に見つめる目です。大学時代、実学からは遠い文学の役割を考える機会がたびたびありました。それは世界の中心ではなく、辺縁からの小さな声に耳を傾けたり、そこから物語を伝えたりしていくようなことではないかと感じていました。そして、その価値を忘れたくないと思っていました。卒業後の17年間で、東日本大震災、働き方改革、コロナ禍と、社会も会社も今までの価値観が崩れ、大きな転換点を迎える出来事がありました。私自身も、がむしゃらに働いて我を忘れ、自分で何でもできるような気になった時期がありました。しかしどんな時も、冷静で冷ややかなもう一つの自分の目が、小さな自分の存在と社会での立ち位置を思い出させてくれたため、かろうじて平常心を取り戻し、自分らしくいられたのではないかと思います。
そして今や、AIがプレスリリースを書く時代となりました。PR会社で働く意味をますます厳しく問うべき時が来たようです。しかし、これからも社会と自分を見つめ続け、中心でなく辺縁からでも、小さな声をあげ続け、少しでも社会に貢献していきたいと思います。
後輩の皆様にお伝えしたいのは、大学とは、心の奥底の、小さいけれど大切な礎となるものを育んでくれるところだということです。そこで気づかぬうちに育まれた自分の芯となるものを大切に、自分の内なる声に一緒に耳を傾けていきましょう。それが、小さくても少しずつ社会を変えていくもととなるのではないかと思います。