梶浦 由記

大学に入るまで、ともかく勉強が大嫌いでした。学ぶということはシンプルに知りたいことを知ること、自分の好奇心を満たすワクワクする時間でもあるのだ、と津田塾で沢山の先生方に教えていただいた気がしています。

学生時代に想定していた「ともかく福利厚生がしっかりした会社で英語を生かして一生働こう！」という未来とはかけ離れた、音楽を仕事にする、という道を選んでしまいましたが、学校を離れても今度は自分が選んだ職業の為に、新しい知識や技術を常に吸収し続けねばならないのはどんな仕事に就いても同じですよね。「学ぶ」ことは時には困難で面倒臭く、また大変時間もかかることではあるけれど、概ね楽しいことなのだよ、と津田塾で存分に教えていただけたことは、今大きな助けとなっているなあと改めて感じています。

学生時代に学んだ事とは随分畑違いの仕事についたなあ、と初めは思っていましたが、英詩を書く時には昔の分厚い教科書を引っ張り出し、美しい言葉と韻の響きに改めて心をときめかせてみたり（そして及ばずながらも真似をしてみたり）、当時打ち込んだことで無駄になったことは何一つ無いなあと感じています。当時自分が進む「べき」だと思っていた道を外れ「好きだけれどこっちへ行かない方がいいかも」と思っていた道を結局今は全力疾走していますが、結局どんな道を選んでも自分の道は一続き。今まで自分が色々な場所に立ててきた小さな旗を時には振り返りながら、その懐かしさも糧にして、新しく音楽と向き合う道をまた楽しく、歩んで行きたいと思っています。