- 伝
- 表
2020/09/01
中村(山田) 麻美
合資会社アトリエ麻美乃絵
画家・挿画家
国際関係学科/1984年
2020/01/26 時点
プロフィール
国際関係学科1984年3月卒業。在学中、深層心理学をメソッドに日本人の精神性を研究、日本画塾で作画の基礎を学ぶ。卒業後三重県に帰り、英語の個人教授業に励み、翻訳して挿画を描いた絵本の原画展以降、画業の道が開かれる。1986年度ミス日本グランプリ、NHKBSニュースキャスターを経て、「日本の心」を伝えるメディアとして絵画を志す。雑誌、新聞、テレビ番組等で歴史ものの挿画を手がけ、近年は歴史上の偉人の本画作品にも新境地を開く。代表作に、NHK大河ドラマ原作新聞小説「天地人」挿画全460回、大型絵本「伝えたい日本のこころ」(公益財団法人日本武道館発行)など。
公式サイト: http://maminoe.jp
メッセージ
「真の国際人を目指すならば、まず自分の国のことを知りなさい」
大学1年生のとき、東洋美術について学ぶ「美術」という講義の中で、教授がこうおっしゃいました。ハッとすると同時に「これを待っていた」いうような感銘を受け、その金言にしたがって志を立て、勉学に励んだ4年間でした。
さらに3年生のある日、社会学のゼミで深層心理学者の河合隼雄先生のご著書『昔話と日本人の心』と出会い、その後の人生がプロデュースされたと言っても過言ではありません。私の学びに対する諸先生方の温かくも厳しいご指導、またゼミでの友人たちとの活発な討論をとおして、日本人と西洋人の意識構造の違いについて、様々な角度から理解を深めた大変有意義な学生時代でした。その学びは今現在でも礎として、おおいに役立っています。
卒業論文では羽衣伝説をとおして日本人の精神構造について拙いながら研究発表しました。そのときの付録につくった『柿』という絵本があります。卒業後、それをミス日本コンテスト大会の特技披露で英文和文の両方で朗読して発表しました。そうしたことをなさる方がなかったからでしょう。グランプリに選んでいただきました。大会に出場することになったのは、不思議な人生の巡り合わせでした。しかし、思いもしなかった世界に分け入り、当時は大変悩んだものでした。外見と内面のバランスを整えることに悩み抜き、自分がどの世界に所属しているのかさえわからなくなるような経験でした。そのときには「女性学」の講義で学び、感じていたことが心の支えになりました。
それから30年以上の歳月が経ち、おかげさまで今では、そのすべてが統合されてきたように感じられます。時代の変化のせいもあるかもしれませんが、何より、子供の頃からおぼろげに志してきたことを「伝えたい日本のこころ」(日本武道館発行 月刊『武道』表紙)という絵と文の仕事にして毎月発表し続けることができる人生となったからだと思っています。
現在は、オリンピックのために建設された日本武道館の新道場ホールにお納めする100号の大鎧武者絵の制作に励む毎日です。真の国際人には、ほど遠い道のりですが、玉川上水の緑陰に過ごした多感な学生時代の思い出を大切に温め、津田梅子先生の尊いお導きを思い、母校での学びの日々に絵筆とともに感謝して、これからも精進して参ります。