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2021/06/08
辻内 千織
株式会社 岩波書店
営業部 課長
英文学科/2006年
2021/05/03 時点
プロフィール
2006年に学芸学部英文学科を卒業。同年秋、それまでアルバイトをしていた書店(オリオン書房)に入社。店頭での商品管理・販売業務等に携わり、文芸書・芸術書・洋書などを担当した。2015年春に岩波書店に転職し、現在は営業部で書籍の販売・プロモーションにかかわる業務を担っている。
メッセージ
小さいころから本を読むことが好きでしたが、本にかかわることは趣味の一環であって、実際にそれを仕事にすることはないだろうと、学生時代の私は思い込んでいました。だからこそ、学生のうちに本にかかわる仕事を一度は体験しておこうと、大学4年の春に書店でのアルバイトを始めました。それから気づけば15年、今は「本」が趣味兼仕事として生活の大部分を占めています。
現在は営業部プロモーショングループで働いています。業務内容は様々ですが、一口にいえば、自社の本を売るための方法を考えてそれを実行する部署です。私の働く岩波書店は、学術書から児童書まで、文庫も新書も雑誌も、『広辞苑』のような辞典も手がける総合出版社です。1冊1冊の本はみな異なる商品で、それを届ける相手も、一般の読者、図書館や書店で働く方々、メディアなど、多様です。多岐にわたる出版物を扱うおもしろさとむずかしさを感じながら、試行錯誤をくり返しています。
リベラルな社風ではありますが、男女半々の社員のうち役職のほとんどを男性が占めます。女性であっても臆することなく学び、参画し、そしてリードしていく—— 津田塾大学で学び、私の内に根づいたこの信念をもって、現状を変えていきたいと考えています。下の世代の女性たちの良きロールモデルになることが私の大きな目標のひとつです。
私の出版業界での短いキャリアは、90年代末に始まったといわれる出版不況の期間にそっくり入っていますが、それでも出版はとてもおもしろい世界です。はるか古代から続く歴史の蓄積から、現代社会の抱える課題、そして未来を担う最先端の技術まで、より良い社会を実現するためのアイディアが集まる場です。
学生のみなさん、ぜひ本を読む習慣を身につけてください。そして、信頼できる出版社の書籍を味方につけてください。本を読むという営みは生涯続けられる学びの実践です。この先どのような進路を選ぼうとも、きっと様々な場面であなたを支えてくれるはずです。