
- 結
2020/05/07
柳澤 彰子
駐日英国大使館
国際通商部主席商務官
国際関係学科
2022/08/15 時点
プロフィール
東京都新宿区出身。国際関係学科卒業。(帰国子女第1期) アーサーアンダーセン(マーケティングスペシャリスト)、デンマーク大使館(コマーシャルアナリスト)を経て現職。消費財・クリエイティブ産業チームリーダーとして、イングリッシュ・ガーデンブームの仕掛け、またクールブリタニアから始まった英国のデザイン産業や映画、音楽などクリエイティブ産業のプロモーションを牽引。(「クールジャパン」立ち上げに経産省へのブリーフィング提供。)また、「不味い」と言われていた英国の食のプロモーション、Taste of Britain、Food is GREATのキャンペーンを立ち上げ、英国の食のイメージチェンジと対日輸入拡大に尽力。2017年夏以降は、RWC2019やTOKYO2020などを中心としたスポーツビジネスや海外インフラ事業における日英連携に取り組む。趣味のコントラクト・ブリッジでは2008年第1回マインドスポーツ世界大会(北京)以降、日本代表を多数経験。2019年世界ブリッジチーム選手権では女性チーム部門で日本チーム24年ぶりのベスト8進出(最終成績5位タイ)、ペア成績(参考)は同部門で日本初の世界1位。早稲田大学大学院スポーツ科学科修了。2021年8月駐日英国大使館退官、2022年8月現在 株式会社バリューHR 社外取締役。
メッセージ
大学4年の10月。就職資料室の求人票に心動くものがなく、就活は無謀にも国営放送局1本に絞っていたため、当時倍率1000倍ともいわれた女子正規採用試験を筆記に続く2回の面接で夢破れた時にはすでに主な企業の採用活動は終わっていました。大学院進学を考え始めたところ、ゼミの故・鈴木一郎教授に「貴女は絶対に外の世界がよい、思いっきりやって、本当に勉強したいことが出てきたらいつでも学べばよい」と諭されました。そこで、当時世界でBig Eightと言われた国際会計・コンサルティング企業(アクセンチュアの前身)の門戸を叩き、追加の採用筆記試験・面接をしてもらい、無事就職先を確保しました。津田塾の周囲では無名の企業でしたが、帰国子女の私には納得のゆく選択でした。卒論を早々に書き終えたので、卒業までの数か月を通産省のインターン的なアルバイトなどに集中することができました。官庁の役割(国会準備など含め)、民間との関わり方などを学ぶことができたことは後に役立ったと思います。
「専門能力(人)が売りもの」のプロ集団に就職したものの、管理部門の配属は思いがけない理不尽を経験することになりました。採用試験の点数は上の方にあったのに、なぜ?という気分でした。しかし、とりあえず何事にも周囲の期待以上を心掛けていたところ、数か月後には日本代表直轄の新設のマーケティング担当に声をかけられ、海外オフィスと連携の一大プロジェクトの担当となりました。「投資」として、天井知らずの予算で様々な研鑽を積ませてもらい、また国際組織ならではのダイナミックなビジネスイベントやマーケティングの企画立案、実施に携わり、有意義な経験を積みました。パブリックセクターに転進後も、コンサルティング業務や様々なプロモーション、キャンペーン活動を牽引するにあたり、前職の経験を最大級に活かすことができていると思います。採用時に自分の立ち位置を確認しなかった最初の就職の反省から、外国公館への転職にあたっては十分に職位と自由裁量の大きさなど事前に、また面接で確認しました。その後、相当な年月を過ごし、千単位の英国企業と日本企業との懸け橋となって仕事をしていますが、常に好奇心を持ちつつ、真摯に、周囲とのwin-winのためにベストを尽くしていれば道は自然に開け、またその過程で関わった人々との繋がりは財産になり、豊かな職業人人生を導いてくれているというのが実感です。
2019年度は、仕事を通して関心を高めたスポーツビジネスやマネジメントを研究すべく、早稲田大学大学院修士課程に仕事の傍ら挑戦し、研究室仲間との充実した1年を優秀論文賞のご褒美つきで無事修了しました。大学4年時の私の個性を深く理解し、大きな岐路に立っていた私に贈ってくれた恩師の言葉「勉強したいことが出てきたらいつでも学べばよい」に今あらためて恩師の(学生への)愛情を感じ、また感謝しています。